ST1100ABS/TCS PAN EUROPEAN 1992

ST1100ABS/TCS PAN EUROPEAN 1992y

 1084cc・縦置きの水冷V型4気筒エンジンを搭載するパンヨーロピアンは、生粋のロングツアラーモデルだ。1990年のIFMAモーターショーに参考出品されたのが最初。実際のデリバリーは'92年からで、おおいに注目を集めた。異様とも思えるくらい大型のスクリーンを備えるフルカバードのエアロボディをはじめ、ヘルメットが楽にはいるほどの大容量を与えられたパニアケースをリアに標準装備。ニックネームが示す通り、1日に500kmも1、000kmも移動するようなヨーロピアンライダーのニーズに応えた仕上りを見せる。

 中身に目を向けると、電子制御のA.B.S(アンチロック・ブレーキ・システム)と、2輪では世界初のT.C.S.(トラクション・コントロール・システム)を搭載していることでも話題を呼んだ。これにより、パニックブレーキによるスリップと、トラクションのかけ過ぎによるホイールスピンを制御するなど、快適性と高次元の安全性を両立。パンヨーロピアンが単なるツアラーではないことがよくわかる。

 リアサスペンションはカウルで覆われているが、ベーシックな2本タイプを採用する。理想的な長距離走行を約束するライディングポジションもこのモデルの魅力のひとつで、自然な高さとほどよく手前に伸びたハンドルで、疲れを感じさせないハンドリングを約束。また、フラットで十分な厚みをもつデュアルシートが与えられており、タンデムランもラクラクこなす。フューエルタンクはニーグリップを細くしぼり込みながらも、大容量の28リッターを確保。面倒な給油の手間からライダーを解放してくれる。タンク前部の約半分はエアクリーナーBOXが収まり、後部からシート下にかけてガソリンタンクが収まっている。重心を低くすることで、大容量タンク装着車にありがちな、満タン時の横揺れを防いでいるのである。

 7、500rpmで100psを発生するエンジンは、低速走行での力強いトルクと、高速走行での伸びのいい加速力を合わせ持つ。駆動にはシャフトドライブを採用し、走行フィーリングはジェントルそのもの。もともとメカノイズの少ないエンジンだが、マフラーの消音効果が抜群で、高回転域まで回しても、下品な悲鳴をあげることはまずない。もっとも、そういう乗り方をするようなバイクではないのだが、スロットルをひねればひねった分、スルスルっとどこまでも加速するので、つい上の方まで回してしまうのだ。

 ハンドリングも申し分のない仕上がりで、293kgというビッグな車重を感じさることはあまりないし、低いシート高と低重心のおかげで、街中の低速走行でもフラつくことはない。もちろん、本領を発揮するのは街中を出てからで、リラックスした姿勢でグリップに手をやり、大型スクリーンで風を切って走る高速クルージングは快感ですらある。

ホンダST1100 PanEuropean 1991y

エンジン:水冷 4サイクルDOHC 4バルブ 4気筒 総排気量:1,084cc ボア×ストロ−ク:73.0×64.8mm 圧縮比:10.0 最高出力:100ps/7,500rpm 最大トルク:11.0kg-m/6,000rpm 始動方式:セル 変速機: 5段(㈰2.666 ㈪1.500 ㈫1.142 ㈬0.916 ㈭0.758 )全長:2,275 全幅:900 全高:1,395 地上高:145 軸間距離:1,550 シ−ト高:800mm 重量:279kg 燃料 タンク容量:29  キャスター:27°30′トレール:101mm タイヤサイズ:(f)110/80-18 (r)160/70-17 輸出車

ホンダST1100 ABS-TCS 1993y

エンジン:水冷 4サイクルDOHC 4バルブ 4気筒 総排気量:1,084cc 最高出力:100ps/7,500rpm 最大トルク:11.3kg-m/6,000rpm 始動方式:セル 変速機: 6段 全長:2,285 全幅:835 全高:1,395 軸間距離:1,555mm 重量:293kクラッチ:湿式多板 燃料タンク容量:28  輸出車

ST1100 ABS-TCS 1993y

 アンチロックブレーキシステムとトラクションコントロールを装備したハイテクツアラー、パンヨーロピアンのマイナーチェンジモデル。主な変更点はツートンカラーリングの採用。音も振動も極端に少なく、さりげなく100psを発生する水冷V4縦置きエンジンや心地よさが際立つ居住性など、いかにも本場のツアラーらしい美点はそのまま受け継がれている。

風倶楽部

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