HONDA X4 1997

X4 1997y 

 パワードカスタムをキーワードに開発されたモンスターマシン、それがX4(エックスフォー)だ。ネーミングからも察しがつくように、心臓部には直4エンジンを搭載。'95年の東京モーターショーに参考出品されてから、さらに1年以上をかけてのリリースということもあるが、細部の仕様はショーモデルとはかなり異なるし、デザイン的にもカスタム色がやや薄らいだ印象を受ける。どちらかというと、ショーモデルがアメリカンカスタムの延長線上にあったのに対し、実用性を加味しながらホンダ独自のデザインコンセプトを強調した恰好だ。細部にまで行き届いた仕上げの美しさも、いかにもホンダらしい1台といえる。

 ヘッドライトまわりから受けるイメージは、一般的なスポーツモデルに近い仕上がりで、キャスター角も31度に抑えられている。とは言うものの、ワイドロースタイルのフォルムは迫力十分。特にタンクからリアエンドにかけてのショートデッキスタイルは個性的で文句なく恰好いい。特筆すべきは730mmという低シート高。ビッグバイクとつき合う上でネックとなるのがシート高の問題だが、X4ではこの敷居の高さを見事に解消。ある程度車重があっても、この高さなら立ちゴケを恐れず積極的に跨ってみようという気になれる。 低く構えた迫力のボディに搭載されるエンジンは、水冷1300cc・4サイクルDOHC直列4気筒だ。ショーモデルがCB1000の発展型だったのに対し、こちらはまったくの新設計で、全体を精桿な艶消しのブラック塗装とし、これでもかと言わんばかりにフィンを刻み込んでいる。ラジエターがなければ空冷エンジンと変わらないいでたちである。ボア×ストロークは78×67.2mmに設定。CB1000(77.0×53.6mm)と較べて、ストロークが25mmほど長く、これは低中速トルクを重視するためのもの。

 エアクリーナーからキャブレター、インテークマニホールドの吸気系の長さでも、CB1000より100mmも長く設定。これもトルクを稼くためだ。キャブレターにはメインボアφ36mmのVE型を新採用し、吸入管長・管径を最適化。さらに、吸気系の充填効率を高める7.5リッター容量のエアクリーナーや、左右合わせて13リッターの容量を確保したφ150mm極太マフラーの採用などにより、12.3kg-mという強大なトルクを5、000rpmで絞り出すパワー特性を獲得。極低回転域から中回転域を多用する街中での扱いやすさを徹底追及。アクセルを少しひねるだけで、身震いするような加速力が体験できるはずだ。長めのホイールベース(1、650mm)で、高速でのロングクルージングも、安定した走りを約束する。

 強力なパワーをシッカリと路面に伝えるため、シャシーには丸型と角型断面鋼管とを組み合わせたダプルグレードルを採用。鋼管の持つしなやかさを最大限に活かしながらも剛性をバランスさせたものだ。足まわりは、フロントに大径43mmのインナーチュープ+高剛性のボトムプリッジ、リアには、荷重可変調節機構付き2本ショックと極太のスイングアームという剛性感あふれる組み合わせで、重厚な操縦フィーリングを実現。

 ブレーキは、フロントにφ310mmのフローティングディスク+対向4ポットキャリパーをダブルで、リアにはφ276mmの対向2ポットキャリパーを装着。前後ともセミメタルパッドを採用するなど、強力かつコントローラブルな制動力で、X4の走りをサポートする。タイヤ&ホイールは、フロントの18インチ軽量3本スポークアルミホイールに120/70ZR18を、そして、X4の特徴でもあるリアディッシュホイールには、190/60ZR17の極太タイヤを採用するなど、力強い走りをイメージさせると同時に、手応えのあるハンドリングを実現している。

 クロームメッキ仕上げの砲弾型メーターは、右にタコメーター、左にやや小ぶりな速度計を配置。いずれも視認性が高いハーフミラーの文字盤を備える。また、発光ダイオードによるデジタル表示の燃料計と水温計をフューエルタンク上にレイアウトするなど、個性が光る工夫も見逃せない。一文字タイプのハンドルバーは、中央部分が太く、両端を細くしたテーパー加工が施され、剛性感を高めると同時に、ほどよく手前にマウント。すべりにくい素材とフィット感にすぐれる段付きシートとあいまって、抜群のホールド性とライディングポジションを実現。この他、アルマイト仕上げが美しいグラブバーをはじめ、左右4箇所の荷掛けフックの装備や、リアカウル内にはUロックの収納スペースを確保するなど、使い勝手を考慮したイクイップメントにも抜かりがない。

 カラーリングは、マットビュレットシルバー、キャンディモールトンプラウン、ビュアプラックなど、一気に3タイプをラインナップ。いずれもX4の精悍で迫力あるフォルムをさらに際だたせる仕上がりと言っていいだろう。また、この種のバイクとしてはやや多めの年間販売計画台数(5、000台)からも、ホンダの自信のほどが伺える。(2076w/20w×104L)

ホンダX4 1997y.3.15

エンジン:水冷 4サイクルDOHC 4バルブ 4気筒 総排気量:1,284cc ボア&ストローク:78×67.2mm 圧縮比:9.6 最高出力:100ps/6,500rpm 最大トルク:12.3kg-m/5,000rpm 始動方式:セル 変速機: 5段( 1:3.083 2:2.062 3:1.545 4:1.272 5:1.130 )全長:2,330 全幅:745 全高:1,140 地上高:135 軸間距離:1,650 シート高:730mm 重量:249kg 燃料タンク容量:15  キャスター:31°00′トレール:135mm タイヤサイズ:(f)120/70-18 (r)190/60-17 価格:89万円

風倶楽部

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