KAWASAKI GPZ1000RX 1986
世界最速の座をGPZ900 Rから一端はスズキGSX−R1100(1985y) に奪われたものの、再び取り戻すべく開発されたモンスターマシン。最高速度は260km/h ・0 → 400m 加速10秒6 というデーターはまやかしではなかった。260km/h 以上をターゲットに加速し続ける強豪達を向こうにまわしての開発合戦は、決して尋常とは言えないでもない。が、サーキットレベルでの開発以上に、市場でのステータス性を象徴するモデルの存在も欠かせないのだ。パワーユニットはGPZ900 Rをモディファイしたもの。しかし、そこには排気量の増大(908→997cc)よりも、より確かなパワーアップも図られている。フラットピストンの採用と燃焼室形状の変更により約3.5 %、独自のクールエアー・インダクション・システムとハンドポリッシュされた吸気ポート等による約5.2 %の増強が図られている。乾燥重量が約4.4 %増に抑えられているのに対し、パワーアップ率は計8.7 %となっている。ストロークがGPZ−Rの55.0→58mmと長くなっていることでピストンスピードは増し、耐久性の確保を図る変更も行われている。コンロッドをより太く、より強度の高いスチールを採用。ピストンピンやビッグエンドのボルトも重量を制限しながらも強化している。キャブレターは従来のφ38mmに対しφ36mmと小径化するも同等の吸入効率を図り、スロットルのレスポンス性を向上。キャブレター本体の取り付けも10→15°に増し、より直線的な吸入システムを生み出している。排気系は、GPZ−Rに対しパイプ径を35→38.1mm に拡大して排気効率を向上。但し、ステンレススチールの採用で 2kgの軽量化も果たしている。フレームは角断面スチールパイプのダブルクレードル、GPZ600 Rに似た形状の新設計ペリメター・フレームで、ブラッ
クペイントの焼き付け塗装で耐久性を高めている。速さばかりではなく、高速安定性でも比類なきレベルを誇っている。
KAWASAKI 1000GTR 1986
パワーユニットを1000RXと共通とするも、ツーリングユースに設定を変更し、穏やかな出力特性が得られている。タンデムライディングを考慮して、ライダーやパッセンジャーをも包み込むようなカウリングが与えられ、高速巡行にも安定した操縦性を提供してくれる。アメリカンフィーリングのビッグツアラーとは異なり高速安定性はハイレベルで、実用性の面でも評価は高い。駆動はシャフトドライブ。静かでジェントルな趣だが、速さはピカイチ。
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