KAWASAKI ZZ−R1100 1990
GPZ900 Rを皮切りに、GPZ1000RX(1986y) →ZX−10(1988y) と水冷インラインフォア最強のパワーユニットを開発していく。900RS(Z2/1972y )のヒットで、カワサキにとってはビッグバイクの確かな手応えと、トップレベルの技術を究めた自信があった。以来、フラッグシップとなるイメージリーダーモデルに最新の技術革新を図りながら、常に最強のスペックを生み出し、信頼性をより確かなものとしてきた。ZZ−R1100は、ZX−10のパワーユニットをベースにボアアップ(74×58mm→76×58mm) 。キャブレターをCVKD36×4 →CVKD40×4 とし147ps/10,500rpmの最強データーを稼ぎ出している。カワサキ・ラムエア・インテークシステムの効果を高め、新気の導入を積極的に図り充填効率を向上させる等、吸・排気系を中心とした手直しが行われている。燃焼室形状やバルブサイズの変更といったヘッド回りばかりでなく、フリクションロスの低減化を図りクロームモリブデン鋼のコンロッドを採用する等、全面的な見直しも行われている。更に、出力の増強に対し冷却効率の向上を図るため、新たにラウンドタイプのラジエターが採用。フレームには、ニュータイプのダブルボックスセクションのPERIMETER(e−BOX FRAME)。サスペンションに関しては形式を従来通りとして、インナーチューブ径のみをφ41→φ43mmに変更している。出力の向上は当然のことながら、空力面での煮詰めには更に徹底した改善が図られ、Cd A値0.03を獲得。このデーターが果した最高速度域への挑戦は、出力増強以上に困難なレベルの値を示したものとも言える。タイヤは、ZX−10のV280 ラジアル→V290 ラジアルに変更。スピードデーターを記したV290 が語るように、ZZ−Rは300km/h を可能とする目標において開発されたモデル。限界性能を究めるというと危険なことのようにも思われる。が、そこには「安全」という確かな証も示されている。'94 年、カワサキはZX−9 Rで新たな挑戦域を探ってきた。ZZ−Rが果たした飽くなき挑戦を更に越えようとしていた。
ZZ-R1100 1991y
公道最速バイクというシンプルなテーマに向けて開発されたカワサキの真骨頂とも評されるモデル。空力特性を徹底的に追及されたフルカウルのダイナミックさは、他を威圧する高級感溢れるスタイリングに仕上がっている。'91yモデルは、カラーリングの変更のみを行っている。
ZZ-R1100 1993y
一見何の変化も無いように見える'93yモデルだが、フレームは新設計のペリメータータイプに変更され、空力に大きな影響を与えるボディーパーツも前モデルのイメージを崩さないように巧みにリニューアルされている。また、パワーユニットは最高出力こそ147ps/10,500rpmと数値を同じくしていても加速時の力強さを向上させるべくツインラムエアシステムを採用し、レスポンスにも若干の違いを与えている。
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