KAWASAKI Ninja ZX-6R 1995

Ninja ZX-6R 1995

 この年のブランニューモデル。カワサキは古くから輸出に積極的でミドルクラスのモデルにも積極的な姿勢を見せていた。ZX-6Rは、ZX-9Rのコンセプトをそのままにラムエアシステムを導入して当時の最新最強のパワーユニットに仕上げてきている。このクラスの特徴は、軽量コンパクトな車体に超高性能エンジンを積むことで、上級車を上回るハイパフォーマンスを生むこと。更に、ブレーキやサスペンションに至っては上級車と同等の装備を与えることでハイポテンシャルの要素も遜色なく盛り込まれている。こういった要素があって実益重視のヨーロッパでは人気のクラスとなっているのだ。

 単にスピードを求めるのであれば、より大きな排気量クラスを求め絶大なパワーに頼れば良いのだが、マシンの重量の増加には、コントロール性に対する不安材料も生まれてくる。バランスを重視する2輪車としては、デテールのセッティング等、適正化には想像以上の多くの努力が払われていることも忘れてはならない。

 国内と海外では法規上の規制の違いもあり、この車格が排気量と共にそのままの出力規制値で日本市場に投入される訳でもない。が、オートバイとしては、非常に効率の良いサイズに仕上がっているものと思える。

 パワーユニットは、カムチェーンを右側に配し、クランクシャフトをZZ-R600に比べて30mmも狭めている。当然のこととして、フリクションロスやメカニカルロスはより徹底して低減化を果たし、ドライブシャフトとクランクシャフト間でも7mmの短縮、ミッションケースのコンパクト化等を含め、パワーユニットの全長も極力短縮。

 ボア&ストロークをZZ-Rの64✖46.6mmから66✖43.8mmと、よりショートストローク化して高回転型の設定を生み出している。圧縮比は、12.0:1から11.8:1とし、他にインテーク及びエキゾーストバルブの拡大(IN.26から27mm/EX22から22.6mm)。バルブ角は30°から25°としてコンパクト化された燃焼室に対し逆に大径したバルブで排気効率を高めてきている。このような徹底した出力化対策によりレスポンスの向上ばかりでなく超高回転時のエンジンの息つきなども抑えられている。

 エンジン単体で7.5kgの軽量化を果たし、シリンダーの前傾をZZ-Rよりも13°増した28°とし、キャブレターの装着角度を49°から68度とよりダウンドラフト効果を推し進めてきてもいる。燃料の供給は電磁ポンプで対応。エキゾーストパイプは、一見して4into1に見えるも、4-2-1を採用してアクセルワークにリニアな反応が得られているようにも思える。デジタルイグナイターの断続は、14000rpmで行われるが、非常にスムーズな回転の上昇を示すエンジンに仕上がっている。

 ラジエターは、オールアルミのシングルコアながら、19500Kcal/hrと言う十分な放熱量が得られている。フレームは、アルミプレスペリメター、リアフレームは引き抜き材、前後アクスル及びスイングアームは中空構造として、レーシングモデル並みの徹底した軽量化が施されている。

 サスペンションは、フロントにインナーチューブ径41mm/カートリッジタイプとしたコンベンショナルな正立テレスコピック。リアはボトムリンクのユニトラックサスペンション。フロントブレーキはセミフローティングとし、大径300mm、4.5mm厚のステンレス製ディスクローターをダブルで採用し、キャリパーは対抗4ポットで対応。リアは、230mm径、キャリパーはピンスライドタイプでスイングアームに直付けしている。

 国内販売を期待したモデルではあるが、残念ながら…輸出向けの専用モデルとなってしまった。

風倶楽部

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