AFRICA TWIN 1988-1996

AFRICA TWIN 1988y

 XLV750Rのデビューから5年のブランクを経て登場。その間、ホンダは何もしていなかったわけではなく、'86年のパリ・ダカールラリーにおいて、ワークスマシンNXR750を投入し、見事デビューウィンを飾っている。続く'87年、'88年と3年連続優勝を決めるなど、Vツインマシンのポテンシャルの高さを実証。そのノウハウを惜しみなくフィードバックして登場したモデルがアフリカツインだ。輸出名はXRV750 AFRICA TWIN。パワーユニットには新たに、水冷4サイクルV型2気筒エンジンを搭載。XLV750Rの空冷エンジンにも振動を抑えるために位相クランクを採用していたが、水冷化によりさらに低振動のジェントルなエンジンに生まれ変わっている。最高出力は7、500rpmで57psを発生。スペック的には僅か2psのアップだが、高回転寄りのセッティングで、150km/hの高速巡航もまったく苦にならない高性能を得ている。空力を徹底追及したカウリングやフラットな幅広シート、24リッターのビッグタンク、標準装備のオイルクーラー、フロントのダブルディスクブレーキなど、ロングクルージングに必要な装備をほとんど満たしたため、乾燥重量も14kg増しの209kgへと増えてしまっているのが唯一の難点か。


AFRICA TWIN 1993y

 アフリカツインになって初のフルモデルチェンジ。XLV750Rからは3代目となる。'88年以降、小変更で熟成を進めてきたアフリカツインだったが、'93年モデルでは完成度を一気に高めてのポテンシャルアップを実現。独特の3バルブ(吸気2+排気1)・2プラグを採用するVツインエンジンは、φ36mmVPタイプのフラットキャブレターの新採用などにより、スロットルレスポンスの向上とよりリニアリティなパワー特性を獲得。国内モデルチェンジの最高出力は従来モデルチェンジのままだが、輸出仕様では62ps/7500rpmを発生する。車体関係では、マスの集中化を図るべくフレームを一新。これに伴い、シェイプアップ化されたフェアリングやタンク(24→23リッター)などにより、7kgの軽量化と低シート高化(880mm→865mm)を達成。見ための軽快さばかりでなく、扱いやすさも大幅に向上しているのが特徴だ。また、シート上面には滑り止め加工が施され、リアキャリアにはタンデムグリップを新設するなど、タンデム走行への十分な配慮も伺える。サスペンションストロークはフロント220mm/リア210mm(従来より10mm延長)とするなど、オフロードでの走破性をアップ。また、リアタイヤにはデュアルパーパスとしては初のラジアルを採用。その他、クラッチフィーリングの向上やユーティリティボックスの見直しなどにより、オールラウンダーとしての機能性をいっそう高めている。'94年、'95年とカラーリングの変更を受け、'96年のマイナーチェンジで現行モデルへと進化している。


AFRICA TWIN 1996y

 オフロードを縦横無尽に走破するというよりも、道を選ばない高速ツアラーとしてその地位を確立しているヨーロッパ市場におけるビッグオフロードモデル。その中でも特に人気の1台がアフリカツインだ。アドベンチャースポーツとサイドカバーにも記されてあるように、ユーザーの多くは、オンオフに関係なく、冒険心を一杯に抱えてオールラウンドモデルとしての醍醐味を堪能しているのである。

 扱いやすく信頼性抜群のV型2気筒エンジンをはじめ、865mmの低シート高を実現した低重心設計のフレーム、スリムなタンク&シート、絶大なプロテンション効果を誇るフェアリング、ロングツーリングに重宝する多彩な機能を備えたデジタルトリップツインメーター、左右にはみ出したサイドカバーに備わるツールボックス、フラット設計の大型リアキャリアなどなど、ツアラーとしての装備はどこをとって見てもトップレベルの仕上り。

 パリダカールラリーで連続優勝(1986〜1989y)を飾ったワークスマシンNXR750のレプリカモデルとして'88年にデビュー。'93年の大幅なフルモデルチェンジを経て、現行モデルへと進化したアフリカツイン。基本構成は'93モデルから大きな違いはないが、'96モデルでは、よりウインドプロテクションを高めるためのカウル形状のリファインにより、ライダーへの走行風を軽減するとともに、ヨーロッパの騒音規制に対処するため、エアクリーナーやマフラーの大型化が図られているのも大きな特徴だ。

 その他の装備面としては、盗難防止用のU字ロックが収納可能な新型のリアキャリアを装着している点も見逃せない。盗難による被害は日本でも増加の一途だが、ヨーロッパでは、日本で想像する以上に深刻な問題なのだ。エンジンは、点火方式をCDIからフルトランジスタ式バッテリー点火に変更。さらにサイレンサーの大型化などにより、高出力化(57ps→58ps)と燃費(24.1km/ℓ→25.2km/ℓ)の向上を実現。また、シート形状の見直しによる座り心地の向上、操作しやすい新形状のクラッチレバーなど、快適性を高めるための変更なども細部にまで及んでいる。

 ラリーレイドのイメージを追求したビッグオフとして開発されたアフリカツイン。しかし実際には、タウンユースから高速道路、ラフロードランなど、オールラウンドに楽しめるツアラーとしての性格が強い。エンジンは位相クランクを採用した水冷Vツインで、58psの大パワーと6.1kg-mのビッグトルクを発生。ストロークが長くしっかりしたサスペンションや剛性の高いボディまわり、快適性優先のビッグボディとカウルなどが効いて、どんな長距離、悪条件でも快適きわまりないツーリングが楽しめる。大きさと重さが気にならなければ、ぜひ一度体験してみたい異次元ツアラーだ。カラーリングを一新した'97モデルも登場しているが、基本構成やスペックなどに変更はない。

風倶楽部

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