NTV650 REVERE 1987

NTV650 REVERE 1987y

 早いもので、NTV650リバーがヨーロッパ市場にデビューしてから30年が経つ。日本人に摂ってはなじみの薄いモデルではあるのですが、凄いのは'87年に登場して以来の10年間を一貫して同じスタイルを通していたことである。変化を見せたのはカラーリングのみ。650ccというと、日本ではちょっと構えてしまう排気量だし、気軽にというわけにもいかないが、ヨーロッパのライダーにとってみれば、通勤通学のゲタがわりのようなもの。価格が手頃で、ベーシックな機能がシッカリしてあれば、なにも最新メカである必要はないのである。メーカーもそのへんの事情が分かっているので、むやみにコストをかけるようなことはしない。実用性を重視するヨーロッパのお国柄がよくわかる1台だった。

 もちろん、NTV650がロングセラーを続けていられたのには訳がある。基本構成が良いからである。647ccSOHC水冷4サイクルエンジンは、シリンダーを狭角52度にレイアウトしたVツインで、粘りのあるトルク感が魅力。最高出力は国内販売されていた同排気量のブロスIより5ps増しの60psを発揮する。スチール製フレームの採用ということもあり、ややオーバーウエイト(188kg)のボディをスムーズ&トルクフルに加速させるエンジンパワーを獲得している。

 その他の仕様などもブロスとは細かく異なっている。ホイールベースはブロスより35mm長くし、直進安定性を重視した設定。また、厚みをもたせたシート形状やボリューム感漂うテールカウルのデザイン処理など、全体的に大柄なボディに仕上がっている。そのためか、ブロスのスタイリッシュさをリバーから感じることはできない。が、そこはヨーロッパ育ち。実用面での充実度はこちらの方が一枚も二枚も上手だ。

 長距離走行で重要視されるフューエルタンク容量は、ブロスから7リッター増しの19リッターを確保。リアカウルは積載性に優れ、パニアケースの装着も簡単にできるよう、突起物を抑えたデザイン形状となっているし、タンデムランを考慮したグリップも装備している。メーターパネルはシンプルで大きくて見やすく、ホーンはデュアルタイプで、安全面への配慮も万全の構えだ。注目すべき点は駆動系にプロアーム+シャフトドライブ方式を採用していることである。これにより、ロングツーリングはもちろん、日常での使い勝手も高いレベルで満たしている。'96年のIFMAショーで発表された'97モデルは、エンジンをはじめとする基本ユニットに変更点は見られず、相変わらずカラーリングを一新しただけだが、ヨーロピアンライダーにとって、依然として魅力的なモデルであったことに変わりはないようだ。

風倶楽部

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