VFR750F 1990y
1989年の第28回東京モーターショーに参考出品され、'90年3月15日に発売されている。RC30と同様のメカニズムを持つパワーユニットとシャシー、プロアームなどで、動力性能は一級品。当然、ストリートを設定してのバランスにセッティングされているから、どんな条件でも安定した速さを保つことができる。国内での需要を上回る実績をヨーロッパではあげており、国際市場を考慮した作りが印象的である。
元来、資質はスーパースポーツバイクでありながら、気負わずに乗れるナナハンとして好評だったVFR750Fの初代のデビューは'86年。この'90年モデルではユーザーインターフェースにさらに磨きをかけての登場。例えば、空力を徹底的に抑えてフロントカウル+ラムエアスクリーン、走る貴婦人とも賞された、エレガントでスタイリッシュなフォルム、底知れぬパワーフィーリング、絶妙のライディングポジション等など、隠れたファンも少なくない。
マフラーとチャンバーの連結部にフレキシブルジョイントを採用。これは、上下可動により、パニアケースの装着を可能にすることや、リアホイールの脱着性を容易にすることへの配慮でもある。タンデムグリップは、使用時のみシート下から引き出せる収納式になっており、単に速く走ることのみを追求したものではないことをうかがわせている。ピボット上部にはエアアウトレット、デュアルヘッド上部にはラムエアスクリーン、フューエルコックはワイヤー作動のリモコン式など、ライディングに関しての快適性をあらゆる面から追求している。
新設計となったフレームは、しなやかさと高剛性を両立したアルミツインチューブタイプとし、エンジンの搭載位置を前方へ34mm、下方に5.5mm移動。ホイールベースの短縮化(1、480→1、470mm)、キャスター角は27.5→26度に設定するなど、ジオメトリーの見直しによる旋回性の向上など、従来モデルからの変更点は、非常に細やかに検討されており、運動性能は柔軟性を増して扱いやすいものになっている。パワーユニットに関しても、細部にわたって見直しが図られ、低中速域でのスロットルレスポンスの向上と、よりダイレクトに発生トルクを実感できるようになっている。サスペンションもフロントにカートリッジタイプを採用。メンテナンス性に優れるボルトオンのシートフレーム等など、数えたらキリがないほど、ユーザーインターフェースにさらに磨きをかけての登場だった。
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