KAWASAKI400SS S3A 1974-1975

KAWASAKI400SS  S3A/1974.1.

 1972年のZ1 誕生以来、2 サイクルは次第にその勢力を弱め主力車種を中間排気量へと移行させていった。この頃唯一4 サイクルを量産していなかったのはスズキだけだった。ヤマハにはTX750(1972y)やXS650 E(1971y) といったビッグツインが存在し、カワサキも国内市場にZ2 をリリースして爆発的なヒットを記録していた。 400SSは、500SSと共に全く同じデザインで同時発売された。車体寸法はそれぞれ異なるも、共にマッハのネーミングも備えられていた。これまで、SS250/350 で共通の車体を用いていたように、1973年12月に発売されている250SSと内容的にはほぼ同じ仕様で仕上げられていた。全長・全幅は共通。全高では400 が35mm高く、ホイルベースでは250 の方が10mm長い。 パワーユニットには、350SSに用いていたボア&ストローク53×52.3mmの346cc エンジンを使用。ボアのみを4mm 拡大した57×523mm の400cc エンジンで対応。出力値こそ350 SSの44.0ps/8,000rpm →42.0ps/7,000rpm と2.0ps の低下をみたが、操縦性に関しては大幅な改良を受けて、一頃のマニアックな感覚からはやや和らいだものへと変更されていた。350SSよりもトルクアップ(4.0kg-m/7,500rpm →4.32kg-m/6,500rpm)が図れ、更に低回転域よりに発生域を拡大したことで、加速性能そのものは劣ることはなかった。ラバーマウントに転換されたパワーユニットにより、ダイレクト感に欠ける印象となったが、一部のマニアックなユーザーを越える支持への広がりに貢献したことは確かだった。スイングアームを延長し、全長で55mm、ホイルベースで35mm拡大しトリッキィな動きが制御。重心の低位置化で安定性が増したことも事実だった。


KAWASAKI400SS S3A/1975

 1974年にS2 のボアアップバージョンとして誕生したS3 は、少々マイルドさを強調するように出力を低下させてのデビューとなった。トリプルシリンダーという機構的にも稀で、出力も個性的な特性を持ち、スプリンターモデルとしての傑出した性能は世界的にも多くのユーザーを魅了して止まなかった。しかし、熱狂的なユーザーの支持は、必ずしも万人への決定的なメッセージとはなり得なかった。胸のすくような加速感も、オールラウンドな評価からすれば“クレイジー”さが強調された部分としか受け取られずに、取扱の面での難点もありと判断されてしまった。マイルドさを備え、より多くのユーザーに受入れられようと改善に改善を重ねられたマッハは、自らの強運をも押さえ込んでしまった。SSとしては最後の400も又、KHへの転換期を迎えてしまった。

風倶楽部

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