KAWASAKI KH250 1978-1980

KAWASAKI KH250 B3/1978y

 1977年10月発表のモデルで、前出のモデルとのスペック上の変更はない。KH400同様、ブレーキマスターシリンダーとシート変更が行われた程度で新鮮さをアピールするものはなかった。1978年6月には、スズキから250専用設計のRG250がデビュー。ライバルが新たな誕生や生まれ変わりをみる中で、KHは唯一のトリプルシリンダーの転換期を見失っていた。個性的であったが故に、その存在感に勝るものを見いだすことが出来なかったのかも知れない。KH400 と共通のフレ−ムを持ち、250cc クラス唯一のマルチシリンダ−で人気モデルとなる。250SS(1972y)→KH250(1976y)と名称変更。出力値は当初の32ps/8500rpm→28ps/7500rpm(250SS/1973y) と変更を受けるが、加速フィ−ルは依然として異彩を放っていた。メインボア22mmの3キャブレタ−を各83ccの3シリンダ−が受持つ。鋳鉄スリ−ブ入りのボア45mm/ストロ−ク52.3mmのアルミシリンダ−は、ピストンバルブの吸入方式。意外なことに1200〜1300rpm の回転域からも、マシンをスルスルと加速させる低速トルクもあると言うことも併せて追記しておく。

KAWASAKI KH250 B4.1979y/B5.1980y

 1978年10月発表の79年型KH250には、何故かこれまでの400との共通のカラーパターンが採用されてはいなかった。このカラーリングは、'78年の輸出モデル(B3)と同じもので、国内仕様としては珍しい。1979年11月発売のB5は、KH400同様のグラフィックに戻されて、鮮やかなライムグリーンをベースカラーに採用していた。シートエンドに飾られた「KH」のロゴが誇らしげでもあり、どこか寂しげにも映っていた。トリプルシリンダーが250ccに用いられたのは1972年2月の250SSが最初。当初の32ps/8,500rpmは、クラスにあって最も最大のもので、驚異的なデーターでもあった。独特の共鳴音を響かせて加速する様は、マッハIIIを彷彿させ、多くの若者たちを官能的な意識にまで導いた。2サイクル250ccモデルが、今はレーサーレプリカというジャンルを築き、パワーユニットをカウルで覆いきってしまう時代になった。パワーユニットの存在感を出力数値のみでしか判断出来なくなって、改てトリプルシリンダーの存在感を強く意識させられるようにもなった。「KH」は、後にも先にも唯一のエンジンレイアウトを一貫して通したカワサキの一徹さを示したモデルだった。

風倶楽部

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