KAWASAKIGPX400R1987
GPZ−R(1985y.2〜1989y.2)からのパワーユニットながら、決して同じような印象のモデルには仕上げられてはいない。ユーザーの選択基準からすれば、ただ単にスタイリング上の好みの違いでしかないようにも思える。が、レプリカ全盛時のこの頃に、こうして 2台のスーパースポーツモデルをラインナップすることは、大いなる決断を要したことと思う。
GPZ−Rに対し、更に進化を押し進めたパワーユニットは、ピストン、オイルリング、ピストンピン、コンロッド等々に徹底した軽量化を図り、高回転域で更に出力特性を向上させている。軽量化は、ピストン/ピストンピンで(一個)20g 、コンロッド一個で22g となっている。クラッチのフィーリングにも改善が与えられ、軽く切れの良い印象が実現されている。
狙いそのものは、GPZ−Rに変わる次世代のモデルと想定していたのだろう。が、GPZ−Rの予想以上の人気にGPXは方向性を修正せざるを得なくなったと言える。残念に思うのは、このモデルが決して安易な想定で生まれたものでないことを証明し切れなかったことだ。
フレームワークは、ネイキッドモデルに採用しても評価される程の品質と実益性の高い仕上げが施されている。アルミフレームに負けない軽さと高剛性が図られている。GPX750 Rと同等のレベルにあるダブルクレードルだ。カウルを否定する訳ではない。が、寧ろFX400Rに活かされていたらとさえ思う。他の各装備内容はGPZ−R以上の機能を持つもの。
サスペンションは、フロントに電気応答式のアンチダイブシステム。従来のブレーキ液応答式に較べ、より確実に素早いレスポンスを実現して、シャープなステアリングフィールが与えられている。リアも専用設計を与えたボトムリンク式ユニ・トラックで、よりプログレッシブ効果が高められて、路面との追従性を向上させている。
ホイルベースそのものは、GPZ−Rの1430mm→1415mmと縮小されクイックな印象とも思えるが、決して不安感は無い。フットワークの高まった分だけ確実にコーナーリング性能を高めている。キャスターの26°、トレールの86mmはGPZ−Rと全く共通。ミッションのギア比、減速比も同じである。ブレーキ系はキャリパー&ディスク共に異なり、より強力な設定が与えられている。僅か一年余でラインナップを外れるが、未だに惜しい気持ちが残るモデルだ。最終型のGPZ400 Rにパワーユニットのみが転換される。
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